「め生える」高瀬隼子 見た目コンプレックスを描いたハゲ文学
突然、原因不明の感染症により、中高生以下を除く全ての人がハゲる世の中になる。
元々薄毛を気にしていた人たちはこの事態に開放感を抱いていたが、ある日、思いがけない新たな悩みに直面することになる。
見た目のコンプレックス、少数派でいることの生きづらさを描いた小説。
内容を知らずに読んだので、冒頭は何が起きているのかと、ちょっとホラーでした。
突然出てきた謎の感染症。初めは病院内で接触したヒトからヒトへ。そのうち街頭でもどんどん感染。価値観を一変させた病気。本の中ではそれが「ハゲる」ということだけど、コロナ禍を連想させられました。
シリアスに読んでいたけど、途中からあまりにも怒涛の「ハゲ」連呼がされるページがあり、思わず吹き出してしまいました。
コロナ禍で、マスクのおかげで化粧をしなくて良くなったのはめちゃくちゃ楽ちんだったので、世の中みんなハゲになったら煩わしい髪のセットや今一番の悩みの白髪もなくなって私も喜んでしまうかも。
「今まで身体を洗うより髪を洗うためにお風呂にはいっていた」みたいな文章があったと思うけど、それにも納得。
外見コンプレックスは、自分の理想との違い、というより、「人と違う」という事が大きな悩みのタネとなっているんだな、と感じた。
自分らしさを大事に、人と違っても気にせず自分のしたいことをしている人は、本当に強い。